遺品整理はいつから始めるべき?適切なタイミング、遺品整理業者を選ぶポイントまで解説
遺品整理は、故人への思いと直面しながら進める必要がある、遺族にとって大切な作業です。悲しみの中での前進を意味するとともに、遺産分割協議などの法的手続きにも影響を及ぼすものです。そんな遺品整理にいつ、どのように取り組むかは遺族にとって重大な決断です。
この記事では遺品整理を始める適切なタイミング、遺品整理時の重要なポイント、遺品整理を進める際の流れなどを詳しく解説します。また、自分で遺品整理を行う場合と遺品整理業者に依頼する場合のメリット・デメリット、遺品整理業者を選ぶ際のポイントについても触れています。
遺品整理を始める適切なタイミング
遺品整理をいつ始めるべきかは、遺族にとって難しい問題です。悲しみの中であわただしく日々が過ぎていきますが、遺品整理が終わらないと遺産分割協議を進めることができないため、どうしても必要なことです。ここでは遺品整理を始めるのに適した時期や、それぞれの注意点を解説します。
葬儀直後(亡くなって1週間以内)
故人が亡くなってから最も早い段階で遺品整理を始めるのは、葬儀終了後です。通夜や葬儀が行われることが多いのは、故人の死後2日目以降です。死亡届を提出した後、葬儀が終わると遺品整理を始める準備が整います。故人が賃貸物件に住んでいた場合、賃貸契約が継続されて賃料が発生するため、早めの整理が求められます。また施設に入所していた場合は、施設の退去規定に従い、速やかに整理を進める必要があります。
社会保険・役所関連の手続き後(亡くなって1週間~4週間ごろ)
故人の死後に行う社会保険や年金関連の手続きが完了した後も、遺品整理の適切なタイミングです。健康保険証の返却や年金の受給停止などの手続きは、亡くなってから14日以内(厚生年金は10日以内)にしなくてはなりません。これらが完了してから、遺品整理に取り掛かる遺族も多いです。
四十九日法要の後(亡くなって2~3か月)
仏教では、故人が極楽浄土への道を歩む四十九日法要が重要な節目とされています。この法要後に遺品整理を開始するのも一般的です。この時期には親族が集まりやすく、遺品について話し合い分配するのに適しています。
相続放棄の期限前(亡くなって3か月以内)
相続を放棄するかどうかを決める期限は、故人の死後3か月以内です。この期限内に遺品整理を行うことで、故人の財産を把握し、相続の選択に役立てることができます。なお相続については「すべて相続する(単純承認)」「すべて相続しない(相続放棄)」「一部を相続する(限定承認)」から選ぶ必要があります。
相続税の申告前(亡くなって8か月ごろ)
相続税の申告と納税の期限は、故人の死後10か月以内です。この期間内に遺品整理を行い、故人の財産を正確に把握することが必要です。遺品の中から必要な書類や価値ある品物を見つけ出すために、この時期に遺品整理に取り組む遺族も多いです。
気持ちが落ち着いてから
遺品整理は、故人の思い出と向き合う作業でもあります。すぐに手を付ける気になれないという人も多くいます。しかし気持ちが落ち着くのを待っていると、あっという間に時間が経ってしまいます。遺品整理を長期間放置すると、遺産分割や相続税申告に影響が出ることもあります。また誰も住んでいない家は、空き巣リスクも生じます。自分の中で期限を設定し、あまり長く放置しないように心がけましょう。
遺品整理をする際のポイント
遺品整理は、残された遺族がしなくてはならない、避けては通れない作業です。自分で行うか専門の業者に依頼するかはケースによって異なりますが、どちらにしても注意すべきポイントがいくつかあります。
しなくてはならない手続きを知る
遺品整理を始めるのに適したタイミングは人それぞれですが、すぐに行うべき重要な手続きがあります。故人が賃貸住宅に住んでいた場合、解約手続きが必要です。また、社会保険や役所関連の手続きも早めに行いましょう。以下の手続きがその例です。
死亡届の提出 | 故人の死亡を公式に記録します。 |
健康保険証の返納 | 故人が使っていた保険証を返します。 |
年金受給権者死亡届の提出 | 故人が年金を受け取っていた場合に停止させます。 |
世帯主変更届 | 故人が世帯主だった場合に必要です。 |
公共料金(ガス、水道、電気)の解約 | 故人名義の契約を解約します。 |
携帯電話の解約 | 故人の携帯電話契約を終了させます。 |
保険の変更手続き | 故人が加入していた各種保険の変更や解約を行います。 |
賃貸住宅の解約 | 故人が賃貸で住んでいた場合、住宅の契約を解除します。 |
貴重品や思い出の品を分類する
最初にすることは、遺品の中から貴重品を分類することです。相続に関わる書類、現金や銀行通帳、印鑑、貴金属などがないか確認しましょう。場合によっては、何か所かに分散して保管されていることがあります。また貴重品以外にも、遺族にとって大切な思い出の品も分けておきます。
遺品整理を親族に知らせる
急に思い立って、勝手に遺品整理を行わないようにしましょう。特に他にも相続人がいる場合、貴重品の扱いには注意が必要です。後になって非難されたり、相続の際に問題が生じたりする可能性もあります。できるだけ相続人全員で、遺品整理をするようにしましょう。
遺品整理の流れ
遺品整理は、故人とのつながりを整理する重要な作業です。その基本的な流れを解説します。
スケジュールを決める
遺品整理を始める前に、遺族全員でスケジュールを立てましょう。この際、誰が何を担当するかの役割分担も決めておくと作業がスムーズに進みます。全員が忙しい中での作業となるため、日程はみんなが参加しやすいように調整することが大切です。
遺言書やエンディングノートを確認する
故人が遺言書やエンディングノートを残している場合は、遺品整理の前に確認しましょう。ここには故人の最後の意志や、財産の分配に関する重要な情報が含まれていることがあります。
相続人や親族の合意を取る
遺品整理は個人的なものだけでなく、法的な側面も持っています。他の親族の了解を得ずに遺品整理を進めると、後にトラブルの原因になることがあります。特に価値ある物や思い出深い品に関しては、親族間で話し合って納得することが大切です。
遺品整理をスタート
親族の間で合意が取れたら、遺品整理を開始します。まずは故人の部屋や物置など、遺品がある場所を確認し、整理する品目をリストアップしましょう。感情的になりやすい作業ですが、落ち着いて行うようにつとめましょう。
不用品を処分
遺品整理の一環として、不用品の処分も必要になります。不用品は種類によって分別し、自治体のゴミ収集ルールに従って処理しなくてはなりません。大量の不用品がある場合や特殊な品が含まれる場合は、遺品整理専門の業者や便利屋に依頼することも検討しましょう。
遺品整理を自分でするメリット・デメリット
遺品整理を自分で行うかどうかは、早い段階で検討する必要があります。こちらでは、自分で行う場合のメリットとデメリットを解説します。
メリット
・費用を抑えられる
自分で遺品整理を行う最大のメリットは、費用を節約できる点です。専門業者に依頼すると費用がかかりますが、自分で行えばその分の出費を抑えることができます。
・自分のペースで進められる
自分でする場合は、自分の予定に合わせて進めることができます。故人との思い出に浸りながらじっくりと遺品を整理する時間を持てるのは、自分でする大きなメリットです。
デメリット
・手間と労力がかかる
自分で遺品整理をする場合、その手間と労力はかなりのものです。特に大量の遺品がある場合や分別が必要な場合などは、時間と労力が必要になります。また大型家具の移動や不用品の処分など、物理的に困難な作業が発生する可能性があります。
・精神的な負担が大きい
故人の遺品を整理するのは、精神的な負担が大きい作業です。特に故人との思い出が詰まった遺品を一つ一つ手に取ることで感情的になりやすく、心身にストレスを感じることもあります。
遺品整理を便利屋や業者に依頼するメリット・デメリット
ここでは、専門業者や便利屋に遺品整理を依頼する場合のメリットとデメリットを説明します。
メリット
・短時間で効率的に遺品整理できる
専門業者に依頼する大きなメリットは、効率良く短時間で遺品整理が終わることです。専門知識と経験を持つ業者は遺品整理をスムーズにすすめ、早く作業を完了させることができます。
・手間や労力が不要
自分で行う場合の大きな負担となる、手間や労力がかかりません。重い物の移動や分別作業、不用品の処分などの負担の大きい作業を代行してくれるため、遺族にとっては大きな助けとなります。
デメリット
・費用がかかる
専門業者に依頼する場合、サービスの費用がかかります。作業の内容や遺品の量によって費用は変動しますが、自分で行う場合に比べると高額になります。
・大切なものを誤って処分するリスク
業者に作業を任せると、間違えて大切なものや思い出の品を捨ててしまうリスクがあります。業者が価値を見極めきれなかったり、事前の意思疎通が不十分だったりすると起こりえます。
遺品整理業者を選ぶ際のポイント
遺品整理業者を選ぶ際には、以下のポイントを念頭に置いておくといいでしょう。
資格の確認
遺品整理士は、遺品整理の専門知識と技術を持つプロフェッショナルです。この資格を持つ業者は、遺品整理に関する高い専門性と倫理観を有しているといえます。まずこの資格の有無を確認しましょう。
料金・サービスの比較
料金・サービスを比較しましょう。複数の業者から見積もりを取得し、料金体系をチェックします。追加費用があるかどうかにも注意し、後から想定外の費用がかからないように気を付けてください。また提供サービスの内容も確認します。必要なサービスが含まれているか、希望に沿った対応が可能かをチェックしましょう。
対応の品質を確認
遺品整理業者には、相続に関する知識が必要です。故人の財産や遺品に関わる相続について適切なアドバイスができるかどうかも、業者選びの際に確認しましょう。また故人との思い出が詰まった遺品を扱うため、親族の心情に寄り添ったていねいな対応ができるかを見極めることも大切です。
口コミや評判をチェック
インターネット上の口コミや評判は、業者選びの際に役立ちます。遺品整理サービスを利用した人の声を参考にし、実績や信頼性を確認しましょう。また実際にサービスを利用した知人からの体験談を聞くことも、たいへん有効です。実体験に基づく意見は、業者の対応やサービス品質を知る上で参考になります。知人でサービスを利用した人がいるなら、ぜひ話を聞いてみましょう。
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まとめ
遺品整理は、遺族にとってたいへん重要な作業です。最も早い段階での始め時は葬儀後です。特に故人が賃貸に住んでいた場合、賃貸契約の継続と賃料発生に注意しましょう。社会保険や年金関連の手続きが完了した後も、遺品整理に適しています。
また四十九日法要後は親族が集まりやすく、遺品の話し合いをするのにいいタイミングです。相続放棄の期限前や、相続税の申告前に整理する人も多くいます。ただし遺品整理は心情的な面もあり、すぐに手を付けられないこともあります。しかし長期間放置すると遺産分割や相続税申告に影響が出るため、期限に注意が必要です。
悔いのない遺品整理をするために、整理を自分で行うか、専門業者に依頼するかを早いうちに決めておきましょう。遺品整理業者や便利屋に依頼する際には、資格の有無や料金・サービスの比較、対応の品質、口コミや評判をチェックすることが大切です。