賃貸住宅のハウスクリーニングとは?費用負担や追加費用、業者選びのポイントを解説
賃貸住宅の入居や退去の際には、住まいをきれいに整った状態に戻さなくてはなりません。このとき頼りになるのがハウスクリーニングサービスです。専門業者が部屋全体を徹底的に清掃し、快適な居住環境に整えてくれます。
この記事ではハウスクリーニングと原状回復の違い、費用負担、ハウスクリーニングの内容、業者によるサービスの違いや追加費用、信頼できる業者の選び方について解説します。
賃貸住宅入居や退去の際のハウスクリーニングとは?
賃貸住宅を借りるときや引っ越すとき、部屋をきれいにするために「ハウスクリーニング」を利用することがあります。このサービスを使うと、専門の業者が部屋の隅々まで掃除をしてくれます。特に退去時には部屋を元の状態に戻す必要があるため、このサービスが非常に役立ちます。
ハウスクリーニングとは
ハウスクリーニングとは、賃貸住宅を退去する際に利用する清掃サービスのことをいいます。このサービスを使うことで、キッチンやバスルーム、トイレなど、普段の掃除では行き届かない場所まで徹底的にきれいにしてもらえます。
ハウスクリーニングと原状回復の違い
「ハウスクリーニング」は部屋全体の清掃を行うものですが、「原状回復」は借りていた人の故意や過失によって生じたダメージを修復することをいいます。
壁の落書きやタバコのヤニによる汚れなどがその例です。ハウスクリーニングは部屋をきれいにするためのものであり、原状回復は部屋を元の状態に戻すためのものといえます。
ハウスクリーニング代は誰が負担する?
通常、ハウスクリーニングの費用は家を貸している人、つまり貸主が負担します。しかし賃貸契約を結ぶ際に「特約」として借りている人、つまり借主が清掃費用を負担することになっている場合もあります。
さらに敷金がある物件では、入居時に支払った敷金から清掃費用を差し引くことがあります。一方で敷金や礼金がない物件では、退去時に実際にかかったハウスクリーニングの費用を借主が支払うことが多くあります。
ハウスクリーニングの内訳
ハウスクリーニングにはさまざまな作業が含まれており、それぞれに特定の目的があります。ハウスクリーニングには具体的にどのような作業が含まれているのか、くわしく見ていきましょう。
有害生物の制御
ハウスクリーニングの一環として、ネズミやゴキブリ、ハエ、ダニなどの有害生物の制御が行われます。これらの生物は、人間の生活にさまざまな問題を引き起こす可能性があります。専門業者はこういった生物の数を減らし、生活に支障が出ないレベルにまで活動を抑えることを目指します。
契約時には「消毒費用」として、サービスの料金が請求されることがあります。完全に全滅させることは難しいですが、有害生物の数をコントロールすることで、住人がより快適に生活できる環境を作り出します。
水回り清掃
水回り清掃は、トイレや洗面所、キッチン、浴室など、水を使用する場所の清掃をさします。内訳には、換気扇内の油汚れやホコリ、浴室のカビなど、普段は目につかない場所の清掃も含まれます。特に汚れやすい水回りを、プロの清掃により衛生的で快適に戻します。
床の清掃
賃貸住宅の床の材質がフローリングの場合、温度や湿度の変化によって変形したり、傷がついたりします。そのため、定期的な床の清掃と保護が重要です。清掃後には、フローリングの表面を保護するためにワックスがけを行います。これにより床の寿命を延ばし、見た目の美しさも保つことができます。
玄関の清掃
玄関は家の第一印象を決定づける重要な場所です。ハウスクリーニングでは、玄関の床面やシューズボックスの内外、玄関扉などをていねいに清掃します。高圧洗浄機を使用して、掃き掃除や拭き掃除では落としにくい汚れも除去します。
部屋全体の清掃
部屋全体の清掃では、照明やカーテンレール、エアコンのフィルターなど、通常の掃除では手が届きにくい部分も含めて隅々まできれいにします。ホコリが溜まりやすい場所も徹底的に掃除され、部屋全体がすっきりします。
サッシ・網戸・窓の清掃
窓や網戸には、手垢やホコリ、外気の排気ガスや空気中の汚れが付着しています。これらの汚れをきれいにすることで、部屋の中に光が入りやすくなり、室内の空気もよくなります。またサッシやレールなどの掃除がしにくい箇所も、専門業者なら隙間に溜まった砂埃や汚れをきれいに落としてくれます。
ベランダ清掃
ベランダは外部からの汚れが溜まりやすい箇所で、鳥や動物の排泄物によって不衛生な状態になることもあります。ハウスクリーニングでは、高圧洗浄機を使ってこれらの汚れをしっかりと洗い流します。
エアコン清掃
エアコンは定期的なメンテナンスが必要な家電の一つです。長期間にわたって使用すると、内部にホコリやカビが溜まり、効率が低下したり、健康に悪影響を及ぼしたりすることがあります。ハウスクリーニングでは、エアコンを分解して内部を徹底的に洗浄します。
壁紙清掃・張り替え
室内でのタバコの喫煙や、子どもの落書きなどによって壁紙が汚れることがあります。これらの汚れは一般的な清掃では落とすことが難しいため、場合によっては壁紙の張り替えが必要になることもあります。
汚れの状態によっては、ハウスクリーニングの料金とは別に張り替え費用が請求されることもあるため注意が必要です。
賃貸住宅のハウスクリーニングで追加費用が発生する場合とは
賃貸住宅のハウスクリーニングでは通常、一定の範囲内での清掃作業が行われます。しかし状態によっては、通常のハウスクリーニングサービスではカバーしきれない特別な作業が必要となり、追加費用が発生することがあります。ここでは、追加費用が発生する可能性のある場合について説明します。
タバコのヤニ汚れ
室内でのタバコの喫煙は、壁や天井、窓ガラスなどにヤニ汚れを残します。これらの汚れは通常の清掃では除去が難しく、特別な洗浄作業が必要となることがあります。
ヤニ汚れに対する清掃は入居者の過失と見なされるため、追加のハウスクリーニング代として入居者が負担することになります。
カビの発生
賃貸物件でカビが発生した場合、通常の清掃では除去が難しいため、追加のカビ除去作業が必要になることがあります。カビは湿度が高い場所に発生しやすいため、お風呂場や洗面所、キッチンなどの水回りだけでなく、換気が不十分な押し入れやクローゼットなどにも発生することがあります。
カビの発生は掃除や換気を怠ったと見なされることが多く、清掃費用は入居者が負担することが多くあります。
壁紙の破れや傷
部屋の壁紙が破れたり傷つけられたりした場合、壁紙の張り替えが必要になります。このような損傷はハウスクリーニングの範囲を超えるため、別途補修費用が発生します。壁紙の張り替えには、新しい壁紙の購入費用と作業費が含まれます。
クッションフロアの傷つき
クッションフロアは水に強く掃除がしやすい一方で、熱や鋭利なものによる傷に弱い特性を持っています。キッチン周りでは調理の際の焼け焦げや切り傷、リビングでは家具の移動による傷がつくことがあります。
このような損傷を防ぐためには、キッチンマットやカーペットの使用が推奨されます。損傷が発生した場合はクッションフロアの部分修理や交換が必要となり、追加費用が発生することがあります。
ハウスクリーニング代の相場はいくら?
ハウスクリーニングを利用しようと考えた時、気になるのがその費用です。ハウスクリーニングの料金は、住宅の広さや間取り、依頼する時期、選ぶ業者によって大きく異なります。一般的な相場を知っておくことは、サービスを依頼する際に目安となります。
広さや間取りによる違い
ハウスクリーニングの料金は、住宅の広さや間取りによって変わります。例えばワンルームや1Kの場合、料金の目安は5万円ほどです。もう少し広い2DKや2LDKの場合は、7万円ほどが相場とされています。
さらに広い3DKや3LDKの場合には、20万円ほどの料金がかかることもあります。これらの料金はあくまで目安であり、実際の費用は業者によって異なります。
繁忙期と閑散期による違い
ハウスクリーニングの料金は、依頼する時期によっても変動します。一般的に、引っ越しシーズンの2月から4月、エアコンを活用する時期の6月から8月、大掃除シーズンの11月から12月は、ハウスクリーニングの繁忙期となります。
繁忙期にサービスを依頼すると、閑散期に比べて料金が高くなることがあります。可能なら閑散期に依頼することで、コストを抑えることができます。
業者によるサービス内容の違い
ハウスクリーニングのパッケージに含まれるサービス内容は、業者によって異なります。一部の業者では基本的な清掃に加えて、エアコン清掃や特殊な汚れの除去が含まれている場合があります。
一方で他の業者ではこれらが追加オプションとなり、別途料金が必要になることも。サービスを依頼する前には、どのような作業が基本パッケージに含まれているのか、追加で必要な作業がある場合はどの程度の費用がかかるのか、確認することが大切です。
ハウスクリーニング業者の種類
ハウスクリーニング業者といっても、その種類は多岐にわたります。それぞれが提供するサービスの内容や特色、専門性が異なるため、ニーズに合った業者を選ぶことが重要です。以下では、主なハウスクリーニング業者の種類について解説します。
ハウスクリーニング専門業者
ハウスクリーニング専門業者は清掃に関する専門知識や技術をもっており、家庭内のさまざまな場所の清掃に特化しています。エアコン、キッチン、バスルーム、窓ガラスなど、特定の場所や設備に対する専門的な清掃サービスを提供しているのが特徴です。こうした業者は、頑固な汚れや専門的な技術が必要な清掃を依頼したい場合に適しています。
便利屋
便利屋は、その名の通り便利なサービスを多数提供しており、その中にはハウスクリーニングも含まれます。便利屋によるハウスクリーニングは、専門業者ほどの技術がない場合もありますが、家庭のさまざまな小さな修理やメンテナンスと合わせて、幅広いニーズに対応してくれることが魅力です。手頃な価格で幅広いサービスを求める場合に適しています。
引っ越し業者
引っ越し業者の中には、引っ越しサービスの一環としてハウスクリーニングを提供しているところもあります。引っ越し前後の物件の清掃を依頼できるため、引っ越しとハウスクリーニングをまとめて行いたい場合に便利です。引っ越し業者によるハウスクリーニングは、搬出入の際に生じた汚れの清掃など、引っ越しに伴うニーズに対応していることが多いです。
良心的なハウスクリーニング業者を選ぶためのポイント
たくさんの業者が存在する中で、どの業者が良心的なのかを判断するのは難しいでしょう。よいサービスを提供してくれる業者を見極めるための、いくつかのポイントをご紹介します。
豊富な実績がある
実績が豊富な業者は多くの清掃を経験しており、さまざまな状況に対応できる専門知識と技術を持っています。長年にわたりサービスを提供している業者は、信頼性が高いといえます。業者を選ぶ際には、まず実績を確認することが大切です。
口コミや評判がいい
過去にその業者を利用した人の口コミや評判は、業者選びの重要な手がかりとなります。特にインターネット上のレビューやSNSでは、リアルな声が多く見られます。良い口コミが多い業者は、サービスの質が高いと考えていいでしょう。
追加費用がかからない
見積もりで提示された料金以外に追加費用が発生しない、透明性の高い料金体系かどうかを確認することも大切です。一部の業者は、作業中に「これも追加で清掃が必要です」と追加料金を請求することがあります。契約前に、追加費用が発生する可能性のある条件を明確にしておきましょう。
スタッフの対応がいい
ハウスクリーニングを依頼する際、スタッフとのコミュニケーションは重要です。事前の相談や見積もりの際の対応、作業中の態度など、スタッフの対応がていねいであることは、サービス全体の質を示す指標となります。
見積もりが無料
見積もり料金が無料であることも、良心的な業者を選ぶための重要なポイントです。無料で見積もりを提供してくれる業者であれば、事前にサービスの内容や料金を確認することができ、納得した上で契約を結ぶことができます。
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まとめ
賃貸住宅の入居や退去時に利用されるハウスクリーニングは、部屋を隅々まで清潔にする専門サービスです。退去時には、部屋を元の状態に戻すためにこのサービスが重宝されます。
ハウスクリーニングの作業は、有害生物の制御、水回りや床の清掃、玄関や部屋全体、窓やベランダ、エアコンの清掃など多岐にわたります。特に汚れやダメージがひどい場合、追加費用が発生することもあります。また料金は住宅の広さや間取り、依頼する時期、業者によって変動します。
良心的な業者を選ぶ際は、実績、口コミ、透明な料金体系、スタッフの対応、無料見積もりの有無などを確認してください。これらのポイントを押さえることで、満足度の高いサービスを受けられるでしょう。