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60代から始める生前整理のコツ|手順や注意点、効率的に進めるポイントは?

生前整理は、自分が亡くなった後に家族が苦労しないよう、身辺を整理しておくことです。何歳になったら始めるべきという決まりはなく、若いうちから生前整理を始めても構いません。
60代は仕事や子育てから離れ、あらためて自分の人生と向き合う時間が増える年代。「還暦」という節目でもあり、生前整理を考える人も多いかもしれませんね。
今回は、60代の生前整理に注目します。60代から生前整理を始めるメリットや気をつけたいポイント、効率良く進めるヒントもまとめました。
第二の人生を生きいきと、充実した時間にするために。60代の生前整理と向き合ってみませんか。
生前整理の具体的な進め方は、下の記事で詳しく解説しています。あわせてご覧ください。

 

▶生前整理の完全ガイド|始め方・進め方から便利なサービス・ツールまで紹介

 

生前整理・基本の進め方

まず、生前整理の基本的な進め方を確認しましょう。すべてを一度に終わらせようとするのではなく、優先順位を決めながら少しずつ進めるのが、生前整理をスムーズに進めるコツです。

ステップ1.生前整理の「やることリスト」を作る

生前整理の作業を始めるまえに、「やることリスト」をつくりましょう。やることリストの作り方は、2つの方法があります。

 

(1) 片付ける対象ごとに書き出す(食器、衣類、アルバム、書籍…)
(2) 片付ける場所ごとに書き出す(キッチン、押し入れ、リビング…)

 

どちらでも、やりやすい方で構いません。紙やノートに、一通り書き出してみましょう。

 

ステップ2.やることリストに優先順位をつける

やることリストに書き出したら、それぞれの項目の優先順位を決めます。

「子どもに生前贈与しておきたい財産がある」といった急ぎの項目は、優先度を高くしておきます。

他の項目は、量が少ないもの・自分がやりやすいものを優先させることがおすすめです。
量が少ないものは比較的すぐに完了でき、生前整理を進めるモチベーションを上げやすくなります。
やりやすいもの、処分の判断をつけやすいものも片付けの手が進みやすく、生前整理ができている実感を持てるでしょう。

 

ステップ3.時間を見つけ、目標を決めて着手する

やることリストに優先順位がついたら、いよいよ着手します。時間を見つけ、少しずつ進めていきましょう。

着手する前に「今日の目標」を決めても良いですね。目標は、達成可能なものにしてください。引き出し一つ、棚ひとつといった具合です。
目標を決めると、やるべき範囲が定まります。どこまで進めれば良いか明確になり、やる気が出る効果が期待できます。
達成感は次の生前整理作業へのモチベーションにもなってくれます。

 

ステップ4.生前整理の状況を家族と共有する

生前整理を始めたことや進行状況を、家族と共有しておくことも大切です。折々に家族と話す時間を持ち、家族も何が・どこにあるか把握できるように努めましょう。

そもそも、生前整理は自分に万一のことがあったときに、遺された家族の手をできるだけ煩わせないようにすることが目的です。生前整理をしても、記録を残したノートがどこにあるかわからないとなっては、本末転倒。

また、生前整理は「親の死」に結びつく話題のため、子どもから切り出しにくいという声もあります。生前整理を始めたことを親の側から子どもに伝えておけば、これからの時間に対する子どもの不安も軽減できます。

 

60代の生前整理は「きっかけ」が大切

「まだまだ現役」「これから人生を楽しみたい」、60代はアクティブな思いを抱く方も多い年代です。
生前整理といっても実感がなく、手が進まないかもしれません。

そんな60代から生前整理を進めるには、きっかけが大切です。

以下は、60代の方が生前整理を考えるきっかけの例です。人生のターニングポイントを意識して生前整理を進め、身も心も軽やかにセカンドライフを楽しんではいかがでしょうか。

 

<60代が生前整理を始めるきっかけ>
・定年退職して時間ができた
・子どもが自立し、手がかからなくなった
・マイホームが老朽化し、老後の住まいが心配になった
・身体の不調を感じることが多く、元気なうちに身辺を整理したいと思った
・親が亡くなり、自分の死について考えるようになった

 

ちなみに、日本人の平均寿命は2022年時点で男性81.05歳/女性87.09歳(※1)です。ただし、健康寿命(健康上の問題なく日常生活が送れる期間)は2019年時点で、男性72.68歳/女性75.38歳(※2)と、平均寿命と10年ほどの開きがあります。

 

60代の方が元気に健康ですごせる時間は、あと10年かもしれません。「元気なうちに生前整理を」と思い立ったら、早めに始めるのが正解です。

※1 令和4年簡易生命表|厚生労働省
※2 平均寿命と健康寿命|e-ヘルスネット(厚生労働省)

 

60代から生前整理を始めるメリット

60代から生前整理を始めるメリットを、3つ紹介します。

 

元気なうちに身の回りを整理できる

前述のとおり、60代は健康寿命までまだ10年あります。60代から生前整理を始めると、気力や体力が充実しているうちに作業を完了できます。

仕事をしていた人も、定年退職を迎える年代です。退職によって生まれた時間の有効活用にもつながります。

 

暮らしやすい生活空間が手に入る

生前整理を通じて家の中が片付き、危険が取り除けることもメリットです。足腰が弱っても、危険が少ない家なら安心して暮らせるでしょう。子どもたちにも、必要以上の心配を掛けずに済みます。

また、家の中を片付ければ、空間にゆとりが生まれます。新しい趣味を楽しむスペースを生み出すこともできるでしょう。

 

財産や物品の情報がわかりやすくなる

生前整理は、自分にかかわるすべての事物が対象です。「厄介だな」と整理を先送りしてきた財産やデジタルデータと向き合い、整理することで、財産や物品の情報を一目瞭然にできます。
不必要な契約を解約すれば、家計の節約につながります。

万一の事があっても、どこに・何があるかが明確なら、その後の手続きがスムーズに進みます。

 

60代の生前整理を効率的に進めるコツ

「60代、まだまだ先は長い」と思っていると、生前整理はなかなか進まないものです。生前整理は、始めたらできるだけ速やかに完了させましょう。生前整理が完了すれば、身辺も頭の中もすっきりして、セカンドライフを存分に楽しめます。

60代で始めた生前整理を、効率的に進めるコツを3つ、紹介します。

 

自分が手をつけやすい項目から始める

生前整理は、身の回りのすべてもの・コトが対象です。整理しておきたい対象は、どのくらいあるでしょうか。ざっと思い浮かぶだけでも衣類に日用品、キッチン用品、思い出の品、書籍、趣味の道具など、相当な量に及ぶのではないでしょうか。

生きてきた足跡ともいえる身の回りの品を、片端から闇雲に片づけようとしても、量に圧倒され手が進まなくなってしまいます。

まずは、自分が手を付けやすいところから始めましょう。少しずつ片付けを完了させ、「終わった!」という実感を持つことが大切です。
量が少なく、早めに終わりそうなところから始める方法もおすすめです。

 

ものの処分・保管の基準を決める

60代は、これからの人生も楽しみたい年代。身の回りのものを整理するといっても、すべては捨てられない人も多いのではないでしょうか。いずれ子どもや孫に譲りたい、と感じるものもあるかもしれません。

かといって、すべてのものを保管しておいては、生前整理になりませんよね。

60代の生前整理は「捨てるか」「引き続き保管するか」、ものに対する判断基準を決めてから取り掛かりましょう。

もう使わないと確信できるもの、壊れているものは処分します。保管に回すものは、次に判断する時期の目安を決めましょう。「80代になったら捨てる」「〇年経ったら子どもに譲る」と心がまえをしておくと、そのタイミングが来たときに迷わず整理できます。

 

パートナーや子どもの手も借りる

生前整理は、パートナーや子どもの手も積極的に借りましょう。ものの量が多く、一人ではなかなか進まないケースも多いためです。

処分するものの中には専門業者への持ち込みに、人手が必要なものもあります。サブスクリプション(定期契約)やパソコン・スマートフォンのデジタルデータなどは、子ども世代のほうが事情に詳しく、スムーズに片付けてくれるかもしれません。

また、家族と一緒に片付けると、家族もあなたの身の回りの品を把握できるというメリットもあります。子どもが小さかった頃の写真を家族で見返し、思い出話をしながら進めても素敵ですね。

 

生前整理で特に注意したい2つのこと

生前整理では、最低限家族にわかるようにしておきたい、2つのことがあります。ものの片付けに追われ、先延ばしにしているうちに不測の事態になった…、ということがないように、できるだけ早めに着手しておきましょう。

 

相続に関すること

相続に関することとは、たとえば以下の内容です。

  • 所有する不動産に関する情報
  • 取引のある金融機関と口座情報
  • クレジットカードの保有状況
  • 生命保険、医療保険の加入状況
  • 貴金属などの動産所有状況
  • 株式や投資信託などの有価証券
  • 借金、住宅ローンなどの負債 など

 

すべての内容について「どこに・どの程度の財産(負債)が・誰の名義であるのか」を財産目録にまとめましょう。

あわせて、相続に関する希望がある場合は、遺言書に残します。遺言書がなければ、財産は法定相続人に引き継がれます。特定の人に財産を残したい場合や寄付をしたい場合などは、法的に有効な遺言書が必要です。

相続や遺言書に関する悩みは、早めに弁護士や司法書士、税理士、行政書士に相談しておきましょう。

 

老後の過ごし方や葬儀についての希望

生前整理を機に、理想の亡くなり方をまとめておくことも大切です。延命治療や葬儀、お墓、納骨について、何か希望はありませんか。

とりわけ、医療については大切です。今後、いつ体調を崩し、意思表示ができない状態になるかわかりません。以下を参考に、自分の希望を書面にまとめてみてください。

<医療に関してまとめておきたいこと>

  • 重篤な病気にかかった場合に、告知を希望するか
  • 回復の見込みがなく、意識がないときに延命治療を希望するか
  • 臓器提供や献体を希望するか

 

60代の生前整理で活用したいツール・サービス

生前整理を効率的に進めたいときに便利な、ツールやサービスを紹介します。

 

エンディングノート

エンディングノートは、万一の備えとして、自分に関する様々な情報を書き記せるノートです。
情報を一か所にまとめられ、誰が見てもわかりやすいまとめになる点がメリットです。また、一般的に記しておきたいとされる項目が書き込める形式になっているため、フォーマットに沿って書いていくだけで情報をまとめられます。

書店では、多様なエンディングノートが販売されています。手に取り、使いやすそうなものを選びましょう。

 

フリマアプリ・リサイクルショップ

タンスの奥に眠っていたブランド品や貴金属、質の良い家具や食器など、生前整理をしていると「もう不要だが、捨てるには忍びない」ものが出てきます。

まだ使えそうな質の良いものは、フリマアプリやリサイクルショップに売ってみませんか。人の手に渡ってものも活かされ、自分には売上代金が入ります。生前整理をきっかけにフリマアプリの利用を始めるシニアの方も、増えているといいます。

以下に、フリマアプリとリサイクルショップの違いを簡単にまとめました。どちらで売るか決めるヒントにしてください。

 

  フリマアプリ リサイクルショップ
メリット 自分で売値を決められる
購入者とやり取りできる
すぐに現金化できる
家の中からものが片付く
デメリット 売れるまでは保管が必要
梱包と発送の手間がかかる
売値はショップ側が判断
引き取ってもらえないものもある

趣味の品やコレクターが好みそうなものは、ネットオークションもおすすめです。意外な高値で落札されるかもしれません。

 

地域のバザー、寄付

「不要だが、売るほどではない」「誰かに使ってもらえれば、それだけで十分」と感じるものは、地域のバザーに出したり、寄付したりしても良いでしょう。

バザーは地域のほか、幼稚園・保育園や学校などが行う場合もあります。また、寄付する場合は、そのものが寄付する施設にとって本当に必要か考えることも大切です。施設によっては「寄付リスト」を公開しているところもあります。

 

便利屋サービス

スピーディーな生前整理には、プロの手を借りる方法もおすすめです。便利屋サービスは、片付け作業から要不要の仕分け、不用品の処分まで一括して依頼できる、文字通り便利なサービスです。

 

生前整理にともなって発生する、以下のような依頼にも対応できます。

  • 掃除
  • 家具の移動
  • 庭や物置の片付け、掃除
  • エアコンクリーニング
  • 住宅の修繕、補修
  • 空地、空き家の管理
  • 水回りのトラブル解決 など

 

便利屋サービスを上手に活用して、家中をすっきりさせましょう。これからの人生が、もっと快適なものになるはずです。

 

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まとめ

60代の生前整理は、気力・体力とも十分にあるうちに始められる点がメリットです。片付け作業も進めやすく、比較的早く生前整理が完了するでしょう。

一方で、これから先の人生がまだ長いことを考えると、身の回りのものすべてを処分するわけにもいかないのが悩ましいところ。思い出の品を見つけた子どもが、自分の子どもが生まれたら使わせたい、と保管を願い出るかもしれません。

60代の生前整理は、片付けに追われることなく老後を楽しむための作業と位置付け、優先順位を決めて効率良く進めましょう。自分の手に負えないものは、プロのサービスを頼るのも良い方法です。

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