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自分で強剪定するときの注意点を解説|基本の手順と枝の活用法も紹介

剪定は、目的によってさまざまなやり方があります。不要な枝を間引く透かし剪定や、伸びすぎた枝を短くする切り戻し剪定、形を整える刈込などが、日常的に行われる剪定です。

 

一方、大きくなりすぎた木のお手入れには、思い切った「強剪定」が必要です。ただ、この強剪定は切る枝も太く、大きくなるのが厄介なところ。自分でやるにはコツが必要です。

 

今回は、庭木の強剪定を自分でやってみよう!という人に向けて、注意点を簡潔にまとめました。あわせて強剪定に適した時期や、剪定で出た枝の活用法も紹介します。

 

木をコンパクトにすると、お庭全体がスッキリとします。今後のお手入れもしやすくなり、良いことずくめ。記事を最後まで読んで、強剪定のポイントを押さえていきましょう。

 

強剪定とは

強剪定とは、枝を大胆に切る剪定です。別名を「強い剪定」「深い剪定」ともいいます。

 

通常、剪定と聞くと「不要な枝を落とす」「伸びすぎた枝を切る」など、枝を間引いて“さっぱりさせる”作業をイメージするのではないでしょうか。このイメージに該当するのは、軽剪定です。

 

一方、強剪定は大きくなりすぎた木をコンパクトにすることが目的のため、樹木全体のサイズが小さくなります。枝を半分以上切り落としたり、根張りを調整したりすることもあります。

 

強剪定をした枝の切り口は大きくなるため、かならず後のお手入れが必要です。また木への負担が大きいため、実施するタイミングにも気をつけなければなりません。

 

強剪定するタイミング

剪定の中でも、木に負担をかけやすい強剪定は、時期を選んで実施することが大切です。剪定に向いている時期、また剪定をしてはいけない時期を解説します。

 

剪定に向いている時期

強剪定は木が休眠期に入っている冬や、新芽が出る前の早春に行うのが基本です。ただし、種類によっても最適なタイミングが異なるため、下の表を参考にしてください。

 

◎強剪定に適した時期

落葉樹 落葉樹の剪定は、冬に実施します。落葉が終わり、木が休眠期に入ってから行いましょう。
常緑針葉樹 1年中葉をつけている常緑針葉樹は、強剪定には不向きです。いきなり強剪定を施すのではなく、毎年少しずつ小さくするやり方がおすすめです。
常緑広葉樹 寒さに弱い木が多いため、春以降の剪定がおすすめです。冬に強剪定をすると、木が弱り枯れるおそれもあります。

 

真夏の強剪定はNG

剪定で枝葉を落とされると、木はわずかながらもダメージを受けます。木が弱りやすい時期の剪定は、木への負担が大きすぎ、トラブルの要因になります。
「剪定の最適時期は、冬から春にかけて」といわれるのも、木への負担をできるだけ少なくするためです。

 

では、剪定してはいけない時期、つまり木が弱りやすい時期はいつでしょうか。

 

それは、真夏です。

 

とくに近年は猛暑が常態化しつつあり、ただでさえ夏の木は弱っています。暑さと強い日差し、水分不足で、枯れる直前になっている木も見かけます。

 

その真夏に剪定するのは、木をわざわざ弱らせるようなもの。また、猛暑のなかの作業は、人間にも熱中症の危険をもたらします。

 

夏の剪定は避け、寒くなってからあらためて木と向き合うようにしましょう。

 

強剪定が必要な樹種の例

強剪定が必要な木は成長が早く、大きくなりやすい種類です。代表的な樹種を、4つ紹介します。

 

シラカバ

高原や山地で見かけることも多い、シラカバ。成長が早い木として知られ、最終的には20メートル級になるものもあります。

 

白い樹皮、秋に黄色く色づく葉のコントラストが美しく、庭木としても人気があります。ただ、放っておくと大きくなりすぎるため、定期的な剪定が欠かせません。

 

シマネトリコ

現代風のモダンな家にもマッチしやすく、シンボルツリーとして人気のある木がシマネトリコです。常緑で艶やかな緑の葉が美しく、冬のさみしくなりがちな庭に彩りを与えてくれます。

 

自然と樹形が整いやすく、サラサラと揺れる姿が爽やかですが、1年で1メートルというスピードで成長します。あっという間に10メートル級になり、手に負えなくなるケースも少なくありません。

 

アカシア

春に咲く花の香りが良い、アカシア。黄色い花で人気のミモザも、アカシアの仲間です。幹が太るまでには時間がかかりますが、植えてすぐに上と横に伸びるのが難点。成長が早く、年に数回剪定が必要といわれるほどです。

 

放置すると、5〜8メートルに達します。ただ、生育期から樹形を整える剪定を行っておくと、サイズを調整しやすいともいわれます。

 

ユーカリ

コアラの食べ物として知られるユーカリは、丸い葉がかわいらしい「ユーカリ・ポポラス」という品種の人気が高まっています。丈夫で管理も容易とあって、シンボルツリーに選ぶ人もいますが、成長が早い点には注意が必要です。

 

土壌が合うと、1年で2メートルほど伸びることもあるとか。数年で10メートルに達する例も珍しくありません。

 

自分で強剪定する際の注意点

強剪定は、できればプロに依頼したい作業です。木の様子を見ながら進める必要があること、また剪定後の手入れが必要にもなるためです。
もしご自分で強剪定をする場合は、次の3点に注意しましょう。

 

・切り口を保護する
・水は与えすぎない
・肥料は控える

 

それぞれを詳しく解説します。

 

癒合剤(切り口の保護)

強剪定によって、大きな断面ができます。断面は、すなわち木の傷。雑菌が入り込んで病気になったり、乾燥して木が傷んだりするおそれがあります。

 

強剪定でできた切り口には、癒合剤(ゆごうざい)を塗って保護しましょう。

 

癒合剤はホームセンターやネット通販で入手できます。ペースト状のクリームを、そのまま断面に均一に塗布します。
多く流通しているものは、殺菌成分が配合された酢酸ビニル系樹脂の製品。ただ、殺菌剤を含まない商品もあります。目的に合わせて使い分けましょう。

 

木工用ボンドやアクリル絵の具は、癒合剤の代用品になります。ただし、雨で流れやすく効果の持続期間に難があります。あくまで癒合剤をすぐに用意できない時の代用品と考え、大切な庭木には癒合剤を使うようにしましょう。

 

水やり

強剪定の後は、水やりは控えめにしてください。木がダメージを受けている状態で水をやりすぎると、根腐れの要因になります。
また、地植えの場合、冬の休眠期は、そもそも水やりが不要です。

 

土を少し掘ってみて、乾いているようなら、適量与える程度で問題ありません。水やりは、日が昇った午前中に行います。

 

肥料

強剪定後は、追肥も避けたほうが良いでしょう。弱っている木は、肥料を与えられても栄養を吸い上げる力がありません。その結果、土壌が養分過多になり、根に余計な負担がかかってしまいます。

 

強剪定の後の栄養が気になる場合は、活力剤を与えましょう。どうしても肥料を与えておきたい場合は、速効性のある無機質肥料を、少量与えます。

 

強剪定の手順と注意点

強剪定の手順を、注意点とともに解説します。自分で強剪定をしてみようという人はとくに、一つひとつの手順を注意深くチェックしてみてください。

 

(1) 切るべき枝を見極める

まず、剪定したい木を全体的に見て、切るべき枝を決定します。

強剪定で切る枝は、2種類です。

 

・不要な枝
・伸びすぎた枝

 

不要な枝は「忌み枝」とも呼ばれ、木の健全な成長を妨げる枝です。
内向きに伸びた枝や1か所から何本も伸びている枝、枯れた枝などが対象です。

 

忌み枝については「庭木の剪定はいつすればいい?樹種別おすすめの時期と基本手順、注意点を紹介」で詳しく解説しています。あわせてご覧ください。

 

また、強剪定の目的である木のサイズダウンには、伸びすぎた枝の剪定も必要です。木をよく観察し、どのくらいのサイズにしたいのかを決めましょう。その上で、理想のサイズからはみ出している枝をカットします。
切りたい箇所にビニールテープを巻いておくと、切る際の目印になります。

 

(2) 剪定道具を準備すし、作業する

次に、剪定道具を準備します。

太い枝を切ることもある強剪定では、次の道具があると便利です。

 

・剪定用ノコギリ(電動も可)
・高枝切りばさみ
・脚立
・ブルーシート

 

とくに太い枝は、電動の剪定用ノコギリが便利です。高い場所や切りにくい場所も、軽く歯を当てるだけで切り落とせます。ただし、枝が込み入っているとモーターが邪魔になるかもしれません。通常のノコギリも、あわせて用意しておきましょう。

 

高い位置の枝は、高枝切りばさみや脚立を使って切ります。また、剪定する木の下にブルーシートを敷いてから作業すると、切った枝がシートの上に落ち、後片付けが容易になります。

 

(3) 後始末をする

作業が終わったら、後始末をしましょう。

 

まず、切った枝の切り口に癒合剤を塗布します。また、強剪定後に木が弱ってこないか、数週間は注意深く様子を観察します。

 

剪定で出た枝は、自治体のルールに従って処分します。多くの自治体は木材の処分方法を、「ごみの袋に入るサイズに切って、可燃ごみへ」と指定しています。
ただし、太く大きな枝を裁断するのは、骨が折れる仕事。量が多い、人手が足りないなど、自分たちだけで処分できない場合は、不用品回収業者への依頼がおすすめです。

 

最後に、落ち葉や細かな枝を掃除して、剪定が終了です。

 

強剪定で出た枝の活用法

強剪定すると、大きめの枝が大量に出ます。「何かに活用できないものか」と考えたくなるかもしれません。
強剪定で出た枝の活用アイデアを紹介します。

 

土留め・縁材にする

土留めは土の流出を防ぐこと、縁材は境界を明確にするものです。ある程度の太さがある枝は、敷地の端や花壇の境界などに配置すると、土留めや縁材として活用できます。
自然の雰囲気があり、ナチュラル風ガーデンにピッタリです。

 

薪ストーブ用の薪にする

適当な太さの枝は、乾燥させると薪ストーブ用の薪になります。ストーブに適したサイズにカットし、日があたる場所で十分乾燥させましょう。
薪には、ナラやブナ、クヌギなど、秋に落葉する広葉樹が最適です。スギやカラマツ、アカマツなどの針葉樹も活用できます。

 

ウッドチップにする

「ウッドチッパー」「ガーデンシュレッダー」と呼ばれる専用の機械があれば、枝をウッドチップに加工できます。
枝を投入して粉砕し、ふるいにかけて適当なサイズのものをより分けましょう。

 

ウッドチップは、庭に敷きつめると土を乾燥から守ってくれます。土に直接日光が当たらなくなり、雑草の生育も遅くなるというメリットもあります。
ただ、日が当たらない場所や湿った場所では、虫のすみかになるおそれもあります。日当たりが良い場所に、薄く敷くのがおすすめです。

 

堆肥にする

剪定で出た枝をコンポストやシートで堆肥にし、庭の土に混ぜるという方法もあります。自然からできた堆肥のため環境に優しく、コストもかかりません。

 

ただ、枝が堆肥になるまでには年単位の時間が必要です。長い期間置いておける場所がある人におすすめします。

 

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まとめ

庭木の強剪定は、枝を思い切って切り落とし、サイズをコンパクトにする作業です。適した時期は樹種により異なりますが、一般的には木へのダメージが少ない冬や早春に実施します。
太い枝を切ることも多く、慣れないと危険を伴う場合も。強剪定を自分でやる場合は、事前準備を入念に行いましょう。

 

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